地域おこし協力隊

応募前に確認すべきこと!地域おこし協力隊募集情報のチェックポイントと注意点!

この記事で分かること

・募集要項の見方と注意点
・募集要項で抑えておくべきポイント

地域おこし協力隊に応募するにあたって、応募希望者が一番最初に確認すべきことは各地方自治体が出している募集要項です。

募集要項の様式などは異なりますが、各地方自治体の記載内容はだいたい似たようなことが書かれています。

まず気になるところは給料や生活環境だと思いますが、それ以外にも確認しておくべきことはあります。

任期中の活動や任期終了後のことなど自分の将来に大きく関わってくることも含まれていますので、募集要項はしっかりと確認しておきましょう。

確認しておくべきことは、主に任期中の活動に関することと生活環境に関することになります。

絶対に確認しておくべきポイントは以下のとおりです。

1、活動内容
2、活動地域と住居
3、雇用形態(給料と福利厚生も含む)と任期(着任日も)
4、応募条件

今回は、募集要項に書かれている内容の基本的な内容について解説したいと思います。

活動内容を確認する

1-1 従事する活動内容(活動ミッション)はどのようなものか

活動内容は地域おこし協力隊になる際のキモの部分と言ってもよいところです。

地方自治体の募集要項によっては、活動内容、活動ミッション、業務内容という言葉が使われていますが、これらは同じ意味で用いられています。以下の解説では「活動内容」という表現を使用します。

各地方自治体は様々な活動内容を設定しています。おおまかに分類すると以下の4つが多いです。

① 農業や林業など何らかの地元産業への従事
② 地元団体(中間支援団体)の業務に従事
③ 地方自治体の外郭団体の業務に従事
④ 地元地域の活動支援

ただ、実際に募集要項を見ると抽象的に書かれていることが多いです。

「~の情報発信」とか、「~の支援」とか、「~の活動」とか、それが具体的には何を指すのか分かりにくい記載がされている場合が多いのではないでしょうか。

そこで、実際に従事する活動内容と併せて、募集要項の記載ぶりから自治体側の真意を読み取ってみましょう。

1-2 活動内容の記載ぶりから透けて見える地方自治体の真意

記載ぶりだけから全てを判断することは危険ですが、元担当者の視点からみて感じたことを書いてみたいと思います。

「絶対こうである」とは言い切れない部分がありますが、参考にしていただければと思います。

活動内容の記載が具体的

従事することになる活動内容が具体的に書かれている場合は、それだけ地方自治体が協力隊員にやってもらいたいと考えている事が明確に決まっていると言えます。

また、活動場所となる地元地域や受け入れ団体などとの調整がしっかり出来ている可能性が高いと言えます。

そのため、採用側が求める人物像がハッキリしていると言えますので、採用のハードルはその分高くなると考えておいた方がいいでしょう。

逆に、採用されるということは、自分が採用側が求める人物像にマッチした人材であると言えますので、初めに自分がイメージしていた活動内容と全然違うということは避けられると考えられます。

活動内容の記載がかなり抽象的

反対に、記載ぶりがかなり抽象的になっている場合は、何らかの問題を含んでいる可能性があります。

記載された表現があまりにも抽象的すぎる場合は、自分の思い込みだけで活動内容をイメージして「こんな感じだろう」と判断するのは少し危険です。

記載ぶりが抽象的になる理由は色々ありますが、考えられるのは以下のとおりです。

●実はまだ活動内容の詳細が固まっていない。
●とりあえず来てもらいたいと考えおり、それらしいことを書いている。
●地元地域や受け入れ団体との調整がなされていないため、具体的に書けない。

これが地方自治体が地域おこし協力隊を採用した際に、協力隊員と地方自治体・地元住民との間でミスマッチが生じる要因となり、採用した自治体が「ブラック自治体」などと揶揄される原因の一つとなっています。

特に危険なのは、地方自治体側または地元住民側、あるいはその両方が協力隊員をただ都合の良い労働力としか見ていない場合です。

ただ、単に募集要項を作成した自治体担当者の文章力が低いという場合も考えられますので、「記載ぶりが抽象的な表現になっている」ことのみをもってダメと判断するには早すぎます。

ですので、着任後に後悔したくない場合は、募集要項に記載された活動内容の曖昧な表現部分について、ある程度具体的なことを聞いておいた方が良いです。

その場合は、事前に電話での問合せや面接の際など質問で確認しておきましょう。

まともな自治体であれば、ある程度は答えてくれると思います。全く答えてくれない場合はいわゆる「ブラック自治体」である可能性を考えた方が良いかもしれません。

1-3 フリーミッション型という特殊な活動内容がある

これは、「着任後に自分で活動内容(活動ミッション)を設定してください」というものです。活動内容の表現としては、これが一番抽象的です。

着任後に自分で活動内容を設定することができるため、非常に自由度が高くなります。

ただ、それは地方自治体や地元住民にとっても同じことなので、一見良さそうに見えますが注意が必要です。

フリーミッション型の意図するところは、本当のところ明確には分かりません。元担当者として推測すると以下のようになります。

●地域おこし協力隊の任期が、すでに定住のための助走期間として位置づけられており、初めから生業(なりわい)を作り出すための準備期間とされている。
●地方自治体側が何が地域活性化につながるか分からないため、とりあえず何か地域活性化策をやってもらえる外部人材に来てもらいたいと思っている。
●フリーミッションという名目で便利屋を募集している。

このフリーミッション型は、めちゃくちゃ自由にやりたいことをさせてもらえる場合初めから便利屋としてみられている場合との両極端に分かれます。

SATO
SATO
元担当者の立場から言うと、活動内容の記載は抽象的に書く方が都合が良いです。正直に言うと、それは地元地域や受け入れ団体の要望に臨機応変に対応してもらいたいと考えているからです。
言い訳ですが、これはあくまで程度の問題なので、表現が抽象的という理由だけでブラックだとは言い切れません。参考としていただき、最終的にはご自身で確認して判断をお願いします。

1-4 活動内容から着任後をイメージしよう!

協力隊員卒業後の定住を見据えた場合には、以下の見極めが必要です。

●活動内容そのものが卒業後の生業(なりわい)の準備期間としての位置づけなのか
●地域づくりの支援活動としての位置づけなのか
●またはその両方の性質を有するのか

地域おこし協力隊のほとんどが全く知らない土地に来て、何らかの活動に従事することになります。

そして当然ではありますが、地域おこし協力隊を卒業すると今まで地方自治体から支給されていた給料が無くなることになります。

ということは、卒業までに定住に向けた準備、特に収入を得られる生業(なりわい)を確保することが出来なければ定住するのは難しくなります。

私の個人的な考えになりますが、活動内容が卒業後の定住を見据えたものになっていないと、本当に定住を目的として地域おこし協力隊を募集しているのか疑問に感じてしまいます。

「地域おこし」なんて言葉を聞くと、カッコいい感じがしますが、移住して最終的に定住するためには、結局は生計を維持するための何らかの収入が必要になります。

理想論や綺麗ごとだけで移住・定住はできません。

SATO
SATO
もちろん、活動期間中に自力で生業(なりわい)を見つける、または作り出せばいいという考えもできます。
ただ私個人は、卒業後の定住率が高い自治体は、活動内容が生業(なりわい)に結びついていることが多いように感じます。

活動地域と住居を確認する

2-1 活動地域の詳細を確認する

どこで活動をすることになるのかは、活動内容と同じくらい重要な要素となります。

同じ地方自治体といっても、市街地もあれば山間部もあります。

また、山間部でも集落ごとに特徴が違います。人口がそれなりにいるところもあれば、本当に過疎化が進んでおり人がいないような集落もあります。

市町村合併によって一つの地方自治体が広範囲になっている関係もあり、希望する地方自治体がたとえ聞いたことがあっても、自分がイメージするような地域で活動できるかどうかは分かりません。

市町村名だけで飛びつかずに、「〇〇市の〇〇地域」がどのあたりに位置するのかを確認しましょう!

2-2 住居はどうなるのか確認する

協力隊員の住居については、様々なパターンが想定されます。

1.地方自治体で住居を用意してくれて、家賃も支払ってくれる。
2.地方自治体で住居は用意するが、家賃は協力隊員が支払う。
3.隊員が自ら住居を確保して、家賃も協力隊員が支払う。

見ず知らずの土地に移住してくるわけですから、住居については地方自治体が面倒を見てくれる場合がほとんどです。

地方自治体と直接雇用契約がある場合は、住居の家賃は地域おこし協力隊の活動費から地方自治体が支出します。

住居費の支払いが自己負担かどうかは、必要となる生活費の大小に大きく影響してきますので確認が必要です。

住居に関することは、以下の点を中心に確認しておきましょう。

●住居はどのようにして決まるのか、また既に決まているのか。
●家賃は誰が支払うことになるのか。

プラスアルファとして、募集要項に記載されていないとは思いますが、既に住居が決まっている場合などは面接時などに下見が出来るのかどうかも確認しておいても良いかもしれません。

雇用形態と活動任期を確認する

3-1 地方自治体と雇用関係はあるのか

雇用形態については、地方自治体と雇用関係がある場合と雇用関係がない場合があります。

地方自治体と雇用関係がある場合は会計年度任用職員となります。いわゆる非常勤職員だと考えください。

地方自治体と雇用関係がない場合は、業務委託契約を結ぶことになります。

雇用関係がある場合

募集要項に「会計年度任用職員」「一般職非常勤職員」などの記載があれば、地方自治体と雇用関係があると判断してください。

また、健康保険と厚生年金に加入することになっている場合も雇用関係がると判断できます。

雇用関係がない場合

募集要項に「市(または町村)と雇用関係はありません。」とハッキリと書いてあれば、地方自治体と雇用関係がないことになります。

仮にハッキリと書かれていない場合は、地方自治体に直接確認した方が良いでしょう。

特に募集要項に以下の内容がみられる場合は雇用関係がない可能性が高いです。

●国民年金、国民健康保険で自分に入るようになっている。
(厚生年金、健康保険に加入することになっていない)
●給料の記載が「報酬」となっている。
●給料が異常に高めに設定されている。
(地方自治体が活動費も含めて、生活や活動に必要な費用をまるっと協力隊員に渡すため高くなっている)

3-2 活動任期は何年か

地方自治体が同一人物を地域おこし協力隊として採用する場合は、最長で3年までとなっていますが、最長2年としている地方自治体もあるので、この点は確認しておきましょう。

また、地方自治体の会計年度は4月1日から翌年3月31日までとなっていますので、任期の記載もこれに合わせた記載となっています。

募集要項では「着任日から翌年3月31日」までと記載されている場合、任期が最長3年であれば、着任日から3年間が任期となります。

つまり、年度途中で着任した場合は、再度の委嘱を4回受けることになります。

イメージとしては以下の様な感じです。

1回目 着任日から翌年3月31日まで
2回目 4月1日から翌年3月31日まで
3回目 4月1日から翌年3月31日まで
4回目 4月1日から着任日相当月日の前日まで

最長3年間というのは、3年度間ではなく通算3年間という意味なので、任期は着任日からカウントしていくことになります。

例えば、任期が最長3年、着任日が令和4年5月15日の場合、任期は着任日から令和7年5月14日までとなります。

ただし、2回目以降の委嘱をするかどうかは地方自治体の判断ですので、任期が最長3年と記載されている場合でも、3年間協力隊員として活動できるとは限りません。この点はくれぐれもご注意ください。

SATO
SATO
何か問題を起こさない限りは、基本的には最長任期まで委嘱されると考えて良いです。問題とは、犯罪、事件、重大事故など、その地方自治体に勤務する一般職公務員がペナルティを受ける基準とほぼ同様だと考えてください。

応募条件を確認する。

採用されるためには地域要件当てはまることが必要なのは当然のですが、その他に応募条件が設けられていますので確認しましょう。

4-1 年齢制限に関する項目

年齢制限を設定している地方自治体があります。

本来であれば年齢制限を設定することは好ましいことではありませんが、なぜか未だに年齢制限を設けている地方自治体があります。

20歳以上40歳以下とする地方自治体が多いです。

下限年齢については、民法改正により成人年齢が引き下げられた関係で、18歳以上とする地方自治体が増えそうな気はします。

年齢制限を設けている場合は、その理由だけで不採用とされてしまう可能性が高いです。採用される可能性が無い場合は、応募しても時間の無駄になってしまいます。

ただし、「おおむね〇〇歳以上〇〇歳以下」など「おおむね」と付けてあえて少しボカシているような記載をしている場合、採用される可能性がないこともないです。

採用したいのはこの年齢幅に当てはまる方が良いと考えていることは間違いないのですが、ここから外れる方であっても人物本位で採用することはあり得ます。

どうしても応募してみたい募集があり、それに年齢制限がある場合は、自分の年齢が年齢制限の範囲から外れていても採用の可能性があるか、事前に確認を取ってみましょう。

ただ、そもそも年齢制限を設けることは労働基準法からみて大丈夫なのか?という疑問は残りますね。(ただ、公務員採用試験は年齢制限をがっちり設けていますので、何とも言えません。)

SATO
SATO
私がいた自治体では年齢制限を撤廃していました。ただ実際は、出来れば若い方に来てもらいたいというのが本音でした。
ですので、若者との競争となった場合は不利になることは間違いないですが、ご年配の方であっても、最終的には人物本位で採否を決定するとの方針でした。

4-2 普通自動車免許に関する項目

普通自動車免許の保有を条件にしている場合が多いです。普通自動車免許を不要としている募集が絶対ないとは言いませんが、ほとんどの地方自治体では必須と考えてください。

山間部では車での移動がメインです。ほとんどの活動に必要不可欠といっても過言ではありません。

免許はオートマ限定とミッションがありますが、募集要項に特に記載がなければどちらでも構いません。

4-3 パソコンスキルに関する項目

パソコンの基本操作が出来ることが条件になっていることがあります。

これに関してはあまり神経質に考える必要はありません。

そもそも活動内容がデスクワークを基本としている場合は、パソコンが出来ないと致命的ですが、そうでない場合は、日々の業務日報をワードで書いたり、活動報告会をするときのプレゼン資料をパワーポイントで作成したりすることが念頭に置かれていますので、このような条件を入れている場合が多いのです。

ですので、今現在パソコンがそんなにバリバリ使えなくても、活動中にある程度出来るようになれば大丈夫です。

そもそも応募書類はパソコンで作成するようになっている場合がほとんどですので、応募した時点でこの条件をクリアできない人はいないと思います。

SATO
SATO
活動内容がデスクワークが基本の場合は、記載内容が「日常業務としてパソコンが使える」などとなっている場合が多いです。

その他に確認しておいた方が良いこと

5-1 面接場所とそこへの移動手段

面接場所は、活動を行うこととなる地域の公共施設で行うことが多いです。

なので、場所が必然的に山間部になってしまいます。

あまりにも交通の便が悪い場所の場合は、地方自治体によっては最寄り駅まで送迎してくれたりすることがあります。

その点なども含めて、面接日当日、面接会場まで時間どおりにたどり着けるように事前に調べておいてください。

また、面接場所までの交通費は基本的に地方自治体が何か負担してくれることは無いです。

5-2 自動車の使用

山間部での移動は自動車が必要不可欠です。

ですので、山間部で活動する地域おこし協力隊においては、地方自治体が活動用の自動車を用意してくれます。

ただ、地方自治体が自動車を用意する場合は、それは公用車という扱いになるので、業務以外での使用は禁止されます。

そのため、自動車の貸与があったとしても協力隊員の私生活での使用を不可とするところがほとんどだと思います。

これは、地方自治体と雇用関係があるのか無いのかで扱いが変わってくる場合があります。

雇用関係がある場合は、地方自治体の職員として公用車を使用することになりますので、その地方自治体のルールに従う必要があります。

雇用関係がない場合は、業務委託をする地方自治体の考え方にもよりますが、自分で自動車を用意する場合は、特に私生活での使用に縛りはありません。

つまり、地方自治体が用意する公用車で活動を行う場合は私生活でその自動車を使用することはできませんが、自分で用意する場合は私生活でも使用することができます。

田舎では自動車での移動は必須ですので、確認しておいた方が良いです。

まとめ

基本的なことなので触れませんでしたが、募集要項には、応募期間、提出書類、提出方法も記載されていますので、これらについてもあらかじめ確認しておきましょう。

また、募集要項に出てくることは無いと思いますが、任期終了後に地域おこし協力隊として活動した地域で起業を考えている人は、地域おこし協力隊起業支援補助金に関することも確認しておいた方が良いでしょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。