地域おこし協力隊

【超初心者】地域おこし協力隊とは何か?制度内容をやさしく解説します!

この記事で分かること

・地域おこし協力隊の基本!
・地域おこし協力隊とは何か。
・自治体側から見た地域おこし協力隊という存在。

ここ数年で田舎暮らしを推奨するテレビ番組や雑誌をかなり頻繁に目にするようになりました。

そこで、都会に住んでいる方の中には、田舎暮らしに興味を持った方や田舎暮らしに憧れを抱いている方も多いと思います。

興味を持つ理由としては、

・田舎である地元にUターンしたい。
・自然豊かな地方に住んでみたい。
・地域の活性化に興味がある。

という方が多いのではないでしょうか。

興味のある方の中にはすでに情報収集をしてる方もいらっしゃると思いますが、色々と情報収集をしているうちに、多くの方は「地域おこし協力隊」という言葉を一度は目にすると思います。

そこで今回は田舎暮らしに興味を持った方の選択肢の一つとして、地域おこし協力隊制度について解説したいと思います。

よくある誤解ですが、地域おこし協力隊は国(総務省)ではなく各地方自治体(市町村)が主体となって実施する事業です。

国が旗振り役となっているだけで、「募集するorしない」の判断から活動内容・採用条件までの詳細は各地方自治体が決定することになっています。

地域おこし協力隊を簡単に解説します

どのような人が地域おこし協力隊と呼ばれているのか?
どうすれば地域おこし協力隊になれるのか?

それは、地域おこし協力隊の旗振り役である総務省の「地域おこし協力隊推進要綱」において定義されています。

(1)「地域おこし協力隊員」
この要綱における「地域おこし協力隊員」とは、以下に該当する者をいう。

1.地方自治体から、委嘱状の交付等による委嘱を受け、地域協力活動に従事する者であること。
2.委嘱にあたり、地方自治体が、その対象者及び従事する地域協力活動の内容等を広報誌、ホームページ等で公表していること。
3.地域協力活動を行う期間は、おおむね1年以上3年以下であること。
4.生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を移動させた者であること。したがって、同一市町村内において異動した者及び委嘱を受ける前に既に当該地域に定住・定着している者(既に住民票の異動が行われている者等)については、原則として含まないものであること。

引用:「地域おこし協力隊推進要綱」総務省ホームページ(抜粋、一部省略)

長くて何だか分かりにくいですね。以下で簡単に説明していきます。

1.地方自治体からの委嘱を受けて、地域協力活動に従事する者であること

委嘱とは、何らかの特定業務を一定期間任せることです。

では「何らかの特定業務」とは何か?
というということを疑問に思うと思いますが、それが「地域協力活動」ということになります。

つまり簡単に言いますと、地方自治体から地域協力活動という仕事を一定期間任せてもらいその仕事をする者、ということです。

では地域協力活動とは何なのでしょうか。

地域協力活動とは

地域協力活動とは具体的に何を指すのか。これも「地域おこし協力隊推進要綱」にその例が定められています。

ここに記載されている内容は、あくまで総務省が示す例です。何が地域協力活動に当たるかは各地方自治体の判断に委ねられています。

これが地域おこし協力隊員の一つ目の条件となります。

地域協力活動の具体例

  • 地域おこしの支援
  • 農林水産業に従事
  • 水源保全・監視活動
  • 環境保全活動
  • 住民の生活支援
  • その他

 地域おこしの支援

地域行事やイベントの応援、伝統芸能や祭の復活、地域ブランドや地場産品の開発・販売・プロモーション、空き店舗活用など商店街活性化、都市との交流事業・教育交流事業の応援、移住者受け入れ促進、地域メディアなどを使った情報発信 など

 農林水産業に従事

農作業支援、耕作放棄地再生、畜産業支援 など

 水源保全・監視活動

水源地の整備・清掃活動 など

 環境保全活動

不法投棄パトロール、道路の清掃 など

住民の生活支援

見守りサービス、通院・買物のサポート、デジタルデバイド対策 など

その他

健康づくり支援、野生鳥獣の保護管理、有形民俗資料保存、婚活イベント開催 など

SATO
SATO
多くの地方自治体は、独自性を出したりせず足並みを揃えがちになるので、この例示の枠から出た地域協力活動での地域おこし協力隊を募集する可能性は少ないです。

2.協力隊員の募集を公表していること

地方自治体が地域おこし協力隊を募集するにあたって、

・応募できる(採用する)対象者
・協力隊員が行う地域協力活動の内容
・その他諸々の採用条件

地方自治体の広報誌やホームページなどで広く周知していることが必要です。

簡単に言うと、「地域おこし協力隊の募集情報が出来るだけ多くの人の目に触れるようにしなければいけませんよ」ということです。

縁故採用や決め打ちで採用をしてはダメですよ、と言い換えることができます。

3.活動期間が1年間~3年間であること

これはそのままですが、地域おこし協力隊として地域協力活動に従事する期間が、最低でも1年以上であり、最大でも3年以内であることです。

地域おこし協力隊として活動できる期間について決まりがあるんですね。

これは地方自治体が一人の人に地域おこし協力隊の業務を委嘱する期間に制限が設けれていることを意味します。

4.生活拠点を都市地域等から移して、住民票も異動した者であること

簡単に言うと、地方自治体から委嘱を受けた後、都会(都市地域)からその地方自治体に住民票を異動させた上で、実際に住むことが必要ということです。

移住でよくあるパターンとして、実際の生活拠点は移すが、住民票は移動させない方という方もいらっしゃいますので、それではダメということになります。

また、基本的には2拠点生活もダメということになります。

移住・定住が目的の一つとなっている地域おこし協力隊ならではのルールですね。

以下の場合には、この条件を満たさないことになりますので注意が必要です。

  • すでに該当する地方自治体(市町村単位)に住んでいる。
  • 地方自治体から委嘱(委嘱状の交付)を受ける前に住民票をその地方自治体に移してしまった。
  • 都市地域等からの移住でない場合。(ただし、細かな規定あり)

すでに該当する地方自治体(市町村単位)に住んでいる

現在住んでいる地方自治体の地域おこし協力隊には応募できません。市町村合併などで広域となっている地方自治体の場合は注意が必要です。

例えば、ABC市がX地区で地域おこし協力隊を募集していたとします。

この場合、ABC市の中心市街地に現在住んでいて住民票を置いている人は、たとえ地域おこし協力隊の活動地域がそのABC市の山間部であったとしても、同じ地方自治体ということで条件を満たさないということになります。

地方自治体から委嘱を受ける前に住民票をその地方自治体に移してしまった

委嘱を受けるとは、地方自治体から委嘱状の交付を受けることを指します。

委嘱状とは、雇用契約書みたいな紙をイメージしてもらうと分かりやすいです。(※厳密には雇用契約とは違います。)

地域おこし協力隊に採用されたので、勢い余って委嘱状の交付を受ける前に住み始めてしまってはダメです。

例えば、委嘱状の交付日が4月1日だったとします。

この場合、住民票上の住所を異動した日が4月1日以降であればセーフですが、3月31日だった場合はアウトということになります。

ちなみに、住民票には「住所を異動した日」(=実際に住み始めた日)と「届出日」(=市町村役場に届け出をした日)がありますが、ここでは「住所を異動した日」(=実際に住み始めた日)を指します。

都市地域等からの移住でない場合

地域おこし協力隊になるためには、都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移住することが必要です。

これを大雑把に言うと、都会から田舎に移住することなのですが、実は、どの地方自治体からどの地方自治体に移住するか、

さらに正確に言うと、
どの地方自治体のどの地域から、どの地方自治体のどの地域に移住するかによって、都市地域等からの移住とみなすのかが違ってくるのです。

簡単に言うと、現在自分が住んでいる場所がどこか、そして移住後に住む場所がどこか、によって移住先の地方自治体が地域おこし協力隊としてその人を採用できるかどうかが変わってくるということです。

ある意味、地域おこし協力隊の移住条件と言えます。

この条件を、地域おこし協力隊界隈では一般的に「地域要件」と呼んでおり、地方自治体別に細かな規定がなされています。

地域おこし協力隊応募者の現在の住所地を起点にして、移住先の地方自治体がその人を地域おこし協力隊として採用できるかどうかについて制限を設けているということなんですね。

これは分かりにくいので、以下の記事で詳しく解説しています。

地域要件を徹底解説
地域要件の調べ方!地域おこし協力隊の地域要件確認表の確認手順を解説します! 地域おこし協力隊の募集についていろいろと調べていくうちに、 興味のある活動内容(活動ミッション)が見つかった! ...

 

地域要件には例外があります

地方自治体が地域おこし協力隊を採用する際に一番ネックとなるのが、実はこの「地域要件」です。

「地域要件」は、地域おこし協力隊応募者が現在住んでいる場所(住民票の場所)によっては、地方自治体が地域おこし協力隊として採用できない場合があることを意味しますが、一部の例外が存在します。

以下、「地域おこし協力隊推進要綱」の「第3 対象」―「(1)「地域おこし協力隊員 ④」」から抜粋

ただし、「地域おこし協力隊員」であった者(同一地域における活動2年以上、かつ解嘱1年以内)、語学指導等を行う外国成年招致事業(JETプログラム)を終了した者(JETプログラム参加者としての活動2年以上、かつJETプログラムを終了した日から1年以内)又は海外に在留し市町村が備える住民基本台帳に登録されていない者で、3大都市圏外の全ての市町村及び3大都市圏内の条件不利地域に生活の拠点を移し、住民票を異動させた者は含めることとする。

引用:「地域おこし協力隊推進要綱」総務省ホームページ(一部抜粋)

簡単に言うと、

下記に当てはまる人は、いわゆる「地域要件」を考慮しなくてもいいですよ、ということです。

(1)元地域おこし協力隊として別の自治体で活動していた方(ただし、同一地域で2年以上活動しており、辞めてから1年以内の場合)
(2)語学指導等行う外国青年招致事業(JETプログラム)を終了した方(ただし、2年以上活動しており、辞めてから1年以内の場合)

そして、

(3)現在海外に住んでおり、日本国内の地方自治体に住民票がない人

の場合は、移住先が

①3大都市圏外の場合
②3大都市圏内であっても条件不利地域の場合

であれば地域要件を考慮しなくてもよいことになります。

SATO
SATO
地域おこし協力隊の地域要件を大幅に緩和する例外ですが、(1)と(2)については、期間の制約があるので注意が必要です。

地方自治体側から見た地域おこし協力隊という存在

基本的には上記の「地域おこし協力隊推進要綱」の要件に当てはまる活動をする人が地域おこし協力隊ということになります。

各自治体が地域おこし協力隊を採用するにあたっては、総務省が定めた「地域おこし協力隊推進要綱」を基にして「〇〇市地域おこし協力隊設置要綱」(名称は自治体によって様々です)などのルールを定めています。

「要綱」とは、行政機関が施策を行うために定めるルールや内部の取り決めのようなものです。

簡単に言うと、「私たちはこの施策を行うに当たって、これを基準にしています。」というものを文章化しているものだと言えます。

つまり、地方自治体から見た地域おこし協力隊とは、地方自治体が実施する地域おこし施策の一つということになります。

「施策」とは、地方自治体が行う事業やプロジェクトだと考えてみてください。

勘の良い方はお気づきだと思いますが、これまで説明してきた内容は、地方自治体側からみた条件ということになります。地方自治体側の都合とも言えます。

SATO
SATO
行政機関の透明性を図るため、各地方自治体ではこの「要綱」をホームページなどで公表している場合が多いです。
もしホームページ上で公表していなくても、各地方自治体では「行政情報閲覧コーナー」などで紙媒体で閲覧できるようにしているはずです。
もし気になる地方自治体の地域おこし協力隊に関する要綱がホームページ上で検索できない場合は、問い合わせれば何らかの形で対応してくれると思います。

地域おこし協力隊の種類

おためし地域おこし協力隊

通常の地域おこし協力隊になる前に活動地域とのマッチングを目的として、一定期間、地域協力活動の体験をする取り組みです。

実施するかどうかは各地方自治体の判断によります。

地域要件の縛りが無い点が通常の地域おこし協力隊と違う点です。

なので、おためし地域おこし協力隊として行った地域に、実は地域要件のせいで応募できないということも十分あり得ますので注意が必要です。

出来れば先に「地域要件」を調べておきましょう!

地域おこし協力隊インターン

地域おこし協力隊として活動を希望する方が、最低でも2週間以上、最高でも3カ月以下の期間を定めて、実際に隊員になった場合に行う活動と同じ活動を行い、通常の地域おこし協力隊の応募につなげる取り組みです。

実施するかどうかは各地方自治体の判断によります。

おためし地域おこし協力隊との違い

・インターン期間の制約があること。(通常の地域おこし協力隊よりかなり短い期間)
・地方自治体から委嘱を受ける必要があること。(通常の地域おこし協力隊と同じ)
・地域要件があること。(通常の地域おこし協力隊と同じ)

地域おこし協力隊との違い

・住民票の異動をする必要がないこと。
・活動期間が短いこと。

地域おこし協力隊と集落支援員の違い

地域おこし協力隊と似たような制度で「集落支援員」というものがあります。

どちらも総務省が旗振り役となって推進しているという点については同じなのですが、地域おこし協力隊は都市地域等からの移住者を対象としているのに対して、集落支援員は現在そこに住んでいる人が対象となっています。

地域おこし協力隊と集落支援員の同じ点

●地方自治体から委嘱される。
●地方自治体の山間部や過疎地域などで活動する。
●委嘱の内容によっては、活動内容が同じというケースもありうる。

地域おこし協力隊と集落支援員の違う点

地域おこし協力隊

●3大都市圏を始めとする都市地域等からの移住が目的の一つ。その地域外に住む方が対象となっている。
●地方自治体が考える地域協力活動に従事。地方自治体が活動内容を幅広く設定できる。

集落支援員

●現在、地域の実情に詳しい人材で、その知見を活かして集落の巡回や状況把握などの活動をする。既にその地域に住んでいる人が対象となっている。
●集落の支援、維持が主な目的。

SATO
SATO
地域おこし協力隊として移住して、任期終了後に集落支援員として活動することも可能です。

まとめ

今回は、地域おこし協力隊の制度について出来るだけ簡単に解説しました。

現在、地域おこし協力隊についての情報を探している方や田舎暮らしに興味のある方とって、少しでも参考になれば幸いです。

地域おこし協力隊をテーマにしたドラマ

余談ですが、2012年に地域おこし協力隊をテーマにしたドラマ「遅咲きのヒマワリ ~ボクの人生、リニューアル~」(生田斗真さん主演)が放送されています。

舞台は、高知県四万十市です。

まだ地域おこし協力隊に興味を持ったばかりで現在情報収集中の方は、このドラマを見れば、地域おこし協力隊のおおまかなイメージが湧きやすくなるのではないでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。