地域おこし協力隊

地域要件の調べ方!地域おこし協力隊の地域要件確認表の確認手順を解説します!

地域要件を徹底解説
この記事で分かること

・地域おこし協力隊の地域要件とは何か
・地域おこし協力隊の地域要件の調べ方、地域要件確認表の見方

地域おこし協力隊の募集についていろいろと調べていくうちに、

  • 興味のある活動内容(活動ミッション)が見つかった!
  • 行きたい地方自治体が見つかった!

という人もいると思います。

しかし、地方自治体が地域おこし協力隊を採用するに当たっては、地域おこし協力隊希望者が現在どこの地域に住んでいるかによって採用できるかどうかが変わってきます。

これを地域おこし協力隊の「地域要件」と呼んでいます。

地域要件は希望する地方自治体(転入地)ごとに異なりますので注意が必要です。

今回はこの地域おこし協力隊の「地域要件」について解説したいと思います。

地域要件は事前に調べておくべき

地域おこし協力隊は、都市部から地方への人口移動を目的の一つとしていますので、都市部から田舎(地方)への移住が基本となります。

そこで、地域おこし協力隊の要件として、「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移す」ことが必要であると決められています。

これだけでは抽象的で分かりにくいと思いますので、総務省ホームページで公表されている地域おこし協力隊の「地域要件確認表」において、どの地方自治体・地域が「都市地域等」や「過疎地域等」とされているのかが具体的に決められています。

これを地域おこし協力隊の「地域要件」と呼んでいます。

この「地域要件」を満たしていない場合、仮に応募しても基本的には門前払いとなります。

地方自治体が地域おこし協力隊を採用する際、希望者の現在の住所地によっては採用できない場合もありますので、もし興味のある地域おこし協力隊の募集情報があるのであれば、事前に調べておくと良いです。

興味のある募集情報があり、色々と下調べをして準備をし、いざ応募すると地域要件に該当しないという理由で不採用となる場合も想定されますので、そうならないためにも地域おこし協力隊の「地域要件」については事前に調べておきましょう。

ただ、この「地域要件」はかなり細かく規定されており、初めての方が資料を見ただけではかなり分かりにくく、自分の力だけで事前に調べるには難しい面があります。

そこで、以下では地域要件を確認する「地域要件確認表」における地域要件の見方・調べ方について解説していきます。

以下の順番で確認することがポイントです。

1.自分の住んでいる住所地(転出地)がどういった地域に該当するのか
2.希望する地域おこし協力隊の活動地域(転入地)は地域要件を満たすのか

SATO
SATO
応募者の方が地域要件に該当せず、面接にすら呼べないといったことが毎回ありましたので、準備が水の泡とならないように事前に調べておくことをおススメします。

地域要件を確認するための「用語」について解説

地域要件は総務省ホームページで公表されている地域おこし協力隊の「地域要件確認表」で確認することができます。

初めに、ここでは「地域要件確認表」で使われている言葉の解説をします。

いきなり用語だけの説明を聞いても分からないかもしれませんので、読んでもよく分からない場合は、とりあえず読み飛ばしても大丈夫です。

下の項目で実際に地域要件を確認していく方法を紹介しますので、その際にまたここまで戻って確認してみてください。

3大都市圏とは

3大都市圏とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県であり、これらの都道府県内全域を指します。

東京を中心とした関東圏、大阪を中心とした関西圏、愛知を中心とした中京圏とイメージすると分かりやすいと思います。

指定都市とは

政令指定都市のことを指します。
具体的には、

①さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市、堺市、神戸市
②札幌市、熊本市
③京都市、相模原市
④仙台市、新潟市、静岡市、浜松市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市

です。

①~④の4つに区分されている理由は、政令指定都市の中でもその地域の状況によって、条件不利地域が存在するからです。

①は、3大都市圏内で都市地域内にある政令指定都市
②は、3大都市圏外で都市地域内にある政令指定都市
③は、3大都市圏内で条件不利地域内にある政令指定都市
④は、3大都市圏外で条件不利地域内にある政令指定都市

政令指定都市と言っても、市町村合併によって山間部の旧市町村と合併していたりしますので、必ずしも市街地だけとは限らないということなんですね。政令指定都市だけど一部が山間部というところも存在します。

ただ、地域要件を考える上で、この4つの区分についてはあまり気にしなくても大丈夫です。

条件不利地域とは

条件不利地域とは、下記のいずれかの法律の対象または指定を受けている地方自治体(市町村)を指します。

1.過疎法(過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法)
2.山村振興法
3.離島振興法
4.半島振興法
5.奄美群島振興開発特別措置法
6.小笠原諸島振興開発特別法
7.沖縄振興特別措置法

地方自治体(市町村)の一部でも対象または指定を受けていれば条件不利地域ということになります。

以下でそれぞれの法律の対象地域の詳細を調べることができます。すべて別タブで開きます。
リンク先が切れている場合は、該当する文言で検索しみてください。

1.過疎法(過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法)

どの自治体のどの区域が過疎地域とされているのか下記のファイルで調べることができます。

過疎地域市町村地図PDF(令和4年4月1日時点)
※リンク先:総務省公式ホームページ

2.山村振興法

どの自治体のどの区域が対象とされているのか下記のファイルで調べることができます。

山村振興 対象地域早見表
※リンク先:農林水産省公式ホームページ

3.離島振興法

どの地方自治体に対象の離島があるのか下記のファイルで調べることができます。

離島振興対策実施地域一覧PDF(令和4年4月1日現在)
※リンク先:国土交通省公式ホームページ

4.半島振興法

どこに対象となる半島があるのか下記のファイルで調べることができます。

半島振興対策実施地域地図PDF(令和4年4月1日現在)
※リンク先:国土交通省公式ホームページ

都市地域とは

「条件不利地域」とされる地方自治体(市町村)以外の地方自治体(市町村)全体を指します。

全部条件不利地域とは

「条件不利地域」とされる地方自治体(市町村)のうち、地方自治体(市町村)全体が条件不利地域に指定されている場合を指します。

例えば、離島だけで一つの地方自治体(市町村)を構成している場合、離島振興法の対象地域として地方自治体(市町村)が全部条件不利地域に該当することになります。
(※日本の離島はほぼ全部が離島振興法の対象地域となっています。)

一部条件不利地域とは

条件不利地域とされる地方自治体(市町村)のうち、地方自治体(市町村)内の一部の区域が条件不利に指定されている場合を指します。

例えば、地方自治体(市町村)内に離島がある場合は、地方自治体の一部が条件不利地域とされる法律の対象または指定されているということになりますので、その地方自治体は一部条件不利地域に該当することになります。

条件不利区域とは

一部条件不利地域の中で実際に条件不利とされる法律によって対象または指定されている部分(区域)を指します。

例えば、先ほどの一部条件不利地域の例で言うと、地方自治体(市町村)内に離島がある場合は、その離島が離島振興法の対象であるため、地方自治体(市町村)全体が一部条件不利地域ということになりますが、その地方自治体(市町村)の中でもその離島部分を条件不利区域と呼ぶことになります。

一部条件不利地域の場合、地方自治体(市町村)全体が条件不利地域とされる法律で対象または指定されているわけではないので、一部条件不利地域の地方自治体(市町村)の中でも、条件不利区域部分とそうでない部分を分けて考える必要があるからです。

条件不利地域は地方自治体(市町村)単位であり、条件不利区域は地方自治体(市町村)内の一部の範囲を指す表現ということになります。

簡単に言うと、全部条件不利地域は、地方自治体(市町村)全体が条件不利区域であり、一部条件不利地域は、地方自治体(市町村)の一部に条件不利区域が存在する、といったイメージです。

特別交付税措置とは

特別交付税とは地方交付税の一つです。地方方交付税には、普通交付税と特別交付税の2種類があります。

地方交付税は「交付税」とついているので、何かに対して支払う税金の一種のように感じるかもしれませんが、実はそうではありません。

地方交付税を簡単に言うと、国が各地方自治体の人口や特殊事情などを考慮して、いったん国税として徴収した税金の一部を地方自治体に割り振る制度です。

特殊事情とは、例えば、積雪の多い地域ではそうでない地域と比べて地方自治体が負担する除雪費用がかかることをイメージして頂ければ一番分かりやすいと思います。

また、「措置」とは「その対象としますよ」という意味です。

つまり、地域おこし協力隊の採用に関する経費は、この地方交付税の対象とすることができるという事なんですね。

ちなみに、税金には国が直接徴収する「国税」と地方自治体が徴収する「地方税」とが存在します。国税の代表的なものは酒税や法人税、地方税の代表的なものは住民税や固定資産税です。

実は、地域要件に該当するかどうかという問題は、地域おこし協力隊に関する経費がこの地方交付税(ここでは特別交付税)の対象となるかどうかという問題と直結しています。

なので、国からの財政的支援を受けるために、ほぼ全ての地方自治体はこの地方交付税の対象となるように地域おこし協力隊制度の運用をしています。

どちらかと言うと地方自治体側の事情ということで、地域おこし協力隊の応募希望者はこの「特別交付税措置」という言葉を気にする必要はありません。

SATO
SATO
よく勘違いされるのですが、地方交付税の特別交付税は、地方自治体が国からお金を必ず全額もらえるという制度ではありません。それはまた別の記事で解説したいと思います。

地域要件確認表の詳しい見方・調べ方

まずは、地域おこし協力隊の地域要件確認表を見てください。

地域おこし協力隊地域要件確認表PDF(令和3年4月1日現在)
リンク先:総務省公式ホームページ
(※リンクが切れている場合は、「地域おこし協力隊地域要件確認表」で検索してみてください。)

地域おこし協力隊の地域要件確認表は4ページ目から見てください。

この「地域要件確認表」を見ても何のことやら分からないと思いますので、以下で具体的に調べる方法を参考例を一緒にみていきましょう。

手順① 自分の住所地(転出地)の「地域要件区分」を確認する

1-1 自分が現在住んでいる自治体名(市町村単位)を探します

例えば、現在の住所地が北海道札幌市の場合は、「都道府県名」として北海道、「市町村名」として札幌市と書かれているところです。

「地方公共団体コード」については関係がないのでスルーしてください。

1-2 該当する自治体の行で「3大都市圏」「指定都市」「条件不利地域」「地域要件区分」と書かれた列を確認します

「3大都市圏」「指定都市」「条件不利地域」欄の列は星印(★)があれば、それに該当するという意味です。

「地域要件区分」の列には、「3大都市圏外 都市地域」「3大都市圏外 全部条件不利地域」などと書かれていると思います。これが現在自分が住んでいる地方自治体(市町村)の「地域要件区分」になります。

例えば、現在の住所地が北海道札幌市である場合を例にします。

●「3大都市圏」「指定都市」「条件不利地域」欄の列には星印(★)が「指定都市」だけにありますので「指定都市」に該当。
●「地域要件区分」欄の列では「3大都市圏外 都市地域」と記載。

つまり、北海道札幌市は「指定都市」で「3大都市圏外 都市地域」ということになります。

地域要件の見方1

手順② 応募を検討している地方自治体(市町村単位)を探す

先ほどの「1.自分の住所地(転出地)の「地域要件区分」を確認する」と同じ要領で、今度は応募を検討している地方自治体(市町村単位)を探します。

例えば、現在の住所地が北海道小樽市の場合は、「都道府県名」として北海道、「市町村名」として小樽市と書かれているところです。

「地方公共団体コード」については今回も関係がないのでスルーしてください。

手順③ 応募を検討している自治体(市町村単位)欄の列に記載された記号を確認する

先ほどの「手順① 自分の住所地(転出地)の「地域要件区分」を確認する。」とは違って、今度は応募を検討している自治体(市町村単位)の行で、「地域要件区分」より右側にある「転出地別の特別交付税措置の適否【原則Ⅰ及び原則Ⅱ】」のところを参照してください。

「3大都市圏内」とか「3大都市圏外」とか書かれた列が10列あると思います。

そこで、先ほど「1.自分の住所地(転出地)の「地域要件区分」を確認する」で、自分の住所地の自治体の「地域要件区分」を調べたと思いますが、ここでは、その地域要件区分に沿った列を見て、そこに書かれた記号が何かを確認します。

記号は、「〇」「△」「▲」「□」「×」のどれかが書かれていると思います。

例えば、現在の住所地が北海道札幌市の場合は、「指定都市」で「3大都市圏外 都市地域」ということになりますので、応募を検討している自治体が北海道小樽市である場合、「転出地別の特別交付税措置の適否【原則Ⅰ及び原則Ⅱ】」欄の下にある「3大都市圏外」で「指定都市」の列に書かれている記号を確認します。

今回の記号は「〇」ですね。

※ここで「都市地域」欄の列ではなくて「指定都市」欄の列を見るのは、都市地域(または全部条件不利地域、一部条件不利地域)の方がより広い概念であり、その分類の中の一つに指定都市があるとみるからです。

そのため、都市地域(または全部条件不利地域、一部条件不利地域)より指定都市の方が優先すると考えてください。

地域要件の見方2

手順④ 記号の意味を確認する

4-1 地方自治体(市町村)から見た記号の意味

記号が何を意味しているかの説明です。地方自治体側から見たものになりますので、地域おこし協力隊希望者はあまり気にする必要はありません。

(地域要件確認表から抜粋)
●「○」は、特別交付税措置の対象となる。
●「△」は、原則として、協力隊員等の転出地が条件不利区域以外の区域であった場合に限り、特別交付税措置の対象となる。
●「▲」は、原則として、協力隊員等の転入地が条件不利区域内である場合に限り、特別交付税措置の対象となる。
●「□」は、原則として、協力隊員等の転出地が条件不利区域以外の区域であり、隊員等の転入地が、条件不利区域内である場合に限り、特別交付税措置の対象となる。
●「×」は、特別交付税措置の対象外である。

4-2 地域おこし協力隊希望者から見た記号の意味

こちらの方が大切です。かみ砕いて記載していますので参考にしてください。

●「〇」の場合は、地域要件をクリアするので、応募した際に地域要件を理由に門前払いをされることはない。
●「△」の場合は、地域おこし協力隊希望者の現在の住所地が条件不利区域でないときは、地域要件をクリアする。(※条件不利地域ではなく、区域となっていることに注意。)
つまり、現在の自分の住所地(転出地)がどこであるかに左右されるということです。
●「▲」の場合は、採用される地方自治体で協力隊員が住むことになる住所地が条件不利区域であれば、地域要件をクリアする。(※条件不利地域ではなく、区域となっていることに注意。)
つまり、採用後の自分の住所地(ほぼイコール活動地区)(転入地)が市町村内のどこになるのかに左右されるということです。
●「□」の場合は、地域おこし協力隊希望者の現在の住所地(転出地)が条件不利区域でなく、かつ、採用される自治体で協力隊員が住むことになる住所地(ほぼイコール活動地区)(転入地)が条件不利区域であれば、地域要件をクリアする。
つまり、現在の自分の住所地と採用後の自分の住所地(活動地区)が市町村内のどこなのか両方に左右されるということです。
●「×」の場合は、応募しても採用される見込みは限りなく少ない。

ちなみに、区域とは「○○市○○町」や「○○市大字○○」など市町村単位より小さい単位となります。

最後に

この調べていく順番を独自にフローチャート形式で表にまとめてみました。良かったら参考にしてください。

確認表のフローチャート

地域要件がどうしても分からない方へ

最終的な方法として、実際に募集情報を出している地方自治体の担当部署に直接問い合わせる方法もあります。

問合せをする場合は下記のような感じで聞いてみてください。

「今募集を出されている〇〇地域の地域おこし協力隊の募集情報について、現在検討しております。
応募に当たって、地域要件に該当するかどうか分からないので、現在自分が住んでいる住所地で地域要件に該当するかどうか教えいただけないでしょうか。
私が現在住んでいるのは、〇〇県〇〇市(または〇〇県〇〇市〇〇町)です。」

住所地は「〇〇県〇〇市」、場合によっては「〇〇県〇〇市〇〇町」まで必要になります。

「結局聞けばいいじゃん!」と思われそうですが、地域要件は複雑すぎて、自治体担当者もすぐに回答できない場合がほとんどであると考えられます。

恐らく即答はできないと思いますので、その点は配慮していただければと思います。

SATO
SATO
私も内容を理解して整理するまでに時間がかかりました。今ならある程度すぐに回答することができますが・・・

地域要件に当てはまらない場合の対処方法

地域要件を調べた結果、現在の自分の住所地からでは、応募を検討している地方自治体の地域おこし協力隊の地域要件に当てはまらない場合、仮に応募しても門前払いとなる可能性が高いです。

そこで、どうしても応募したい場合、取り得る一つの方法としては、いったん都市部(または要件に当てはまる地域)に住民票を移して、実際に現在の住所地を変えてしまうという方法です。

住む期間としては、住民としての資質が備わったと判断できる常識的な期間が必要ですので、目安としてはおおよそ6カ月~12カ月だと思われます。あくまで目安となります。

明確な基準が無いのは、どれくらい住めばそこの住民と言えるのかは程度問題であるため、募集を出している地方自治体によって解釈が異なってくるからです。

ですので、一番安全なのは住民票を移動させ実際に12カ月以上住むことです。

SATO
SATO
私が担当していた時は、どの程度の期間が必要なのかという具体的な基準はありませんでした。某上部機関(具体的な名称は差し控えます)に問い合わせた結果、「各自治体で判断してください」との回答でした。ちなみにその時の上司は「12カ月が妥当じゃないか」と言っておりました・・・。

まとめ

今回は、地域おこし協力隊になるための「地域要件」について解説しました。

現在の住所地が東京都特別区のように明らかに都市部である場合には、地域要件を満たすかどうかを気にする必要がありません。

しかし、現在の住所地がたとえ政令指定都市であっても、条件不利区域を含む「一部条件不利地域」と分類されている場合もありますので、現在の住所地が都市地域に当たるかどうか微妙な人は、事前に調べておいた方が良いでしょう。

「地域要件」は、地域おこし協力隊の応募に当たって一番分かりにくいところだと思いますので、応募を検討している方にとってこの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。